My every day is "Rainy,rainy,rainy".
My every day is "Rainy,rainy,rainy".
「ミス、そんなところにいたら風邪ひいちゃうよ」
「構いやしないわ」
「びしょ濡れじゃない」
「濡れるのが好きなの」
「そう」
「そうよ」
My every day is "Rainy,rainy,rainy".
My every day is "Rainy,rainy,rainy".
「隣に座っても?」
「あなた、物好きね? ……ええ、どうぞ。哀れな濡鼠を隣で見物していてくださる?」
「物好きというか、僕は女好きでね」
「そう」
「そうさ」
My every day is "Rainy,rainy,rainy".
My every day is "Rainy,rainy,rainy".
「……同じ女好きでも、あなたと彼じゃ大違いね」
「誰?」
「もうすぐ私の旦那さまになる人。あなたみたいに格好良くないし、若くないし、下品だし、機転も利かないし……」
「最悪だね」
「ええ」
「そんな人とどうして結婚するの?」
「決められていたからよ。私が生まれるよりずっと、ずうっと前に。そんな勝手に決められて、しかもまだ一、二度しか会ってない人なんて私、愛せない。……けど、いいの。愛がなくても幸せになれる自信があるんだから」
「……ふうん?」
「あら、だって、伯爵さまよ! 今までよりもずっとずっと贅沢な暮らしができるもの! きっと毎日楽しいわ!」
「そう」
「そうよ」
「そうか」
「……。私のこと、汚い女だと思っているでしょう」
「まあね」
「……ふふふ、あなたぐらいはっきりと言ってくれる人は今までいなかったわ。ちいさい頃は、こんなふうじゃなかったのよ。きっと素敵な王子さまが現れて……運命の女神の愛を独り占めしたかのような大恋愛の末、結婚! いつまでも末永く幸せに、なんて御伽噺みたいな人生が夢だったのよ。……いつからこうなっちゃったのかしらね」
「それはね、君が大人になった証拠だよ」
「……。そうかもね。……ところであなたは、とても上等なスーツをお召しになっているけれど、男爵様? それとも子爵様かしら?」
「僕? 僕はとあるマフィアを仕切っていてね」
「は?」
「だから」
「……マフィアですって? まさか、有り得ないわ」
「どうして?」
「だって、とても澄んだ目をしてるんですもの」
「色目のことかい」
「あはっ、違ってよ。そんないやらしい目じゃないわ。……あ、わかった。きっと神父さまか何かでしょう。哀れな私を励ましに来てくださったんだわ。……あら、どうかして?」
「……参ったな。今までで最高の口説き文句だ。僕の十八人目の妻にならない?」
「え――も、もう! からかうのはよして!」
「いや、本気だけれど」
「とんだ嘘つき神父さまね! ……あら、雨が上がったわ。」
「君が笑ったからね」
「…………」
「どうしたの?」
「え――な――なんでもなくてよ。……ああ、そろそろ帰らないと」
「そう。じゃあ、早く行きなさい。――送ってあげたいけれど、ほら、僕、陽の下を歩けない身だし」
「……まあ、……いいわ、信じておいてあげる! 素敵な犯罪者さん!」
「光栄だよ。それじゃあね、素敵な未来の伯爵夫人さん」
「ええ!」
My every day is "Rainy,rainy,rainy".
But sometimes "Rainy,rainy,sunny".